共同通信配信記事 2006年11月8日付

「愛国心」押し付けずに
教基法特別委が地方公聴会


 衆院教育基本法特別委員会は8日午前、政府、与党が今国会の最重要課題と
位置付ける教育基本法改正をめぐり、仙台、津両市で地方公聴会を開き、教育関
係者らから意見を聴いた。「愛国心」については改正に賛成の立場からも押し付け
を避けるべきだとの意見が出た。

 津会場では3人が意見表明。学習塾経営の福士英実氏は「教育の目標が具体的
になる」と賛成を表明。宗村南男四日市大学長は「私学教育について明記されてお
り、今後の私学運営の基礎になる」と述べ、政府案と民主党案の両案を評価した。

 一方、元三重県教育長の宮本長和氏は、「現行法がそのままでよいとはを思わな
いが、拙速に改正すべきではない」と述べ、時間をかけた審議が必要との考えを示
した。

 特別委委員との質疑で愛国心の表現について、宗村氏が「国を愛することは大事
だが、押し付けはいけない」と指摘。宮本氏も「強制しない形で基本法に入れるべき
だ」と述べた。

 仙台会場では、4人のうち3人が基本法改正に賛成の立場を示した。

 宮城県PTA連合会の桜中辰則会長は「法改正は教師のことだけでなく社会全体
を考えるいいきっかけになる」と賛成の立場を強調。

 一方、中森孜郎・宮城教育大名誉教授は「教育の荒廃が進んでいるが、それは皮
肉にも教育基本法をなし崩しにしてきた結果ではないか」と法改正に疑問を投げかけ
た。