『毎日新聞』青森版2006年11月8日付

タウンミーティング:やらせ質問、6人を事前に指定−−八戸市教委公表


 八戸市で開催された政府主催の「タウンミーティング」で、内閣府が県教委
や市教委を通じて事前に発言内容を指示していた問題で、市教委は7日、10
人の発言者のうち、指示内容を発言した2人を含む6人が事前に指定されてい
たことを明らかにした。当日は会場を6ブロックに分け、無作為に発言者を選ん
でいるように演出していた。

 タウンミーティングは9月2日、小坂憲次文部科学相(当時)らをパネリストに
教育改革をテーマに開催され、約400人が出席した。

 市教委によると、8月10日に内閣府から、発言希望者の発言内容を事前に
把握したいと依頼され、22日に4人の発言趣旨を報告した。

 さらに30日には、文科省が作成した教育基本法改正を支持する内容の三つ
の質問項目が示され、計3人の発言者を探すよう指示があった。31日には「棒
読みは避けて」「自分の意見を言っている感じで」との指示があり、この3人につ
いては「必ず当たる」、別の4人についても「たぶん当たる」としていた。

 市教委が市連合PTAを通じて確保できた発言者は2人だけで、残る1項目は
県教委に依頼した。当日は、発言予定者の着席位置を文科省の担当者らが確
認したという。

 松山隆豊教育長は「自由かっ達な議論が求められる中で、結果的に『やらせ』
と受け止められてもやむをえない。市教委として主体的に判断すべきだった」と対
応の誤りを認めた。【長沢晴美】
     ◇
 県教委は1人に質問を依頼したが、この人物は当日、出席しなかった。県教育庁
教育政策課は「発言を強制するといった認識はなかったが、結果として県民の不信
を招いたことは申し訳ない」と文書でコメントした。【村松洋】