『朝日新聞』2006年11月08日付

学力テストで予算ランク分け撤回 東京・足立区教委


 東京都足立区の07年度予算で、学力テストの成績に応じて各区立小中学校
をランク付けし、学校への配分額に差をつける方針を固めていた同区教委は7日、
この方針を撤回することを明らかにした。同区教委は、新たな方針として、各校か
らの申請に基づく予算査定では、「ランク付け」はせず、テスト結果の伸び率を大き
な判断材料にすることにしている。

 同日開かれた区議会文教委員会で、内藤博道教育長が明らかにした。

 区教委の当初方針では、年に1回ずつ行われている都と区の学力テストについ
て、(1)都の学力テストで学校平均の正答率が都平均以上の科目数(2)区学力
テストの成績が前年度からどれだけ伸びたか――などの項目を設けて査定。学校
をA(全学校数の10%)、B(20%)、C(30%)、D(40%)にランク分けし、「特色
ある学校づくり」予算の額に差をつける案をまとめていた。金額は中学校でAランク
が約500万円、小学校で約400万円、Dは小中学校ともに約200万円、としてい
た。

 新たな方針では、A〜Dの4ランクに分けるのをやめ、各学校から提出される予
算の申請に基づいて1校ずつ査定する方法に改めるという。学力テストの結果は、
伸び率によって学校に加点する形で予算を上乗せする。加点の点数はあらかじ
め決めずに1校ずつ判断する。学校へ配分する予算に学力テストの結果を反映
する点は変わらないという。同区教委は、さらに具体的な方法を詰める。

 ランク付けする案が明らかになったあと、区教委には「学校格差を生む」などの
意見が多く寄せられた。撤回した理由について、内藤教育長は「Aは良い学校で
Dはダメな学校などと、誤解されやすい制度だなと思った」と語った。