『毎日新聞』2006年10月30日付

教育基本法:衆院特委で審議入り 履修不足など質疑


 政府が最重要課題に掲げる教育基本法改正案の実質審議が30日、衆院教育
基本法特別委員会で始まった。高校の履修単位不足問題に関し、伊吹文明文部
科学相は卒業生や架空記載の内申書で推薦入学に合格した生徒についても扱い
を検討していることを明らかにした。また、公立4045校のうち7.1%に当たる289
校で履修不足があり、3年生81万2767人のうち5.8%の4万7094人が学習
指導要領で定めた必修科目を満たしていないとの文科省調査の結果も示した。

 伊吹氏は卒業生などへの対応について「(個人の)権利に関わるので法制局と
協議している」と述べ、法的な問題点を精査していることを明らかにした。塩崎恭
久官房長官も同日午前の記者会見で「履修しないで卒業したことに対し、どういう
法的な判断をしていくのかを考えなければいけない」と語った。

 一方、伊吹氏によると同省調査で判明した履修不足の内訳は、50分授業を1コ
マとして▽140コマ以上=1118人▽70コマ以上140コマ未満=8722人▽70
コマ未満=3万7254人。文科省は私立高校についても調査に着手しており、伊
吹氏は同委で「かなりの数字が加わってくる」との見通しを示した。

 これに関連し、安倍晋三首相は30日朝、首相官邸で伊吹氏に「未受講、既受講
両方の生徒が犠牲者だ。不公平感が生じないよう、スピード感を持って現実的に
対処してほしい」と指示。伊吹氏は同委で週内に解決策を明らかにする方針を重
ねて示した。

 また、いじめ自殺問題について伊吹氏は「子どもを守るべき教師や教育委員会に
いじめを隠す傾向がある」と述べるなど、教委制度の見直しにも改めて言及した。
【竹島一登】