『朝日新聞』2006年10月24日付

教育基本法、改正案修正も視野 首相
「民主案含め協議」


 安倍首相は24日午前、国会内で伊吹文部科学相と会い、今国会で成立を目
指す教育基本法改正案について「民主党案のいいところを含めて話し合うよう
に」と指示した。民主党も対案を出しており、修正も視野に入れる考えを示し
たものだ。また、首相と文科相は「いじめ問題もあるので教育の責任を明確に
する」との方針で一致した。

 これに関して首相は同日昼、首相官邸で記者団に「まずは、政府で提出して
いる改正案について議論を進めて参りたいと思っている」と語った。

 民主党案に言及した首相の指示について塩崎官房長官は同日午前の記者会見
で、「開かれた議論を教育基本法という極めて重要な法律について、前広にやっ
てほしいということを言ったのではないか」と説明した。

 教育基本法改正をめぐっては、民主党案が義務教育について国が「最終的な
責任を有する」と明記しているのに対し、政府案は国と自治体が「適切な役割
分担と相互協力」するとの表現にとどまっている。

 一方、政府案では、公明党との合意を優先したため、自民党がこだわった
「愛国心」を「我が国と郷土を愛する態度を養う」とするなど表現が弱められ
ている。同党内からは、前文に「日本を愛する心を涵養(かんよう)する」な
どと盛り込んだ民主党案を評価する声も出ていた。