『しんぶん赤旗』2006年10月21日付

教育基本法
「改正」案 廃案訴える
歴史研究者ら755人賛同


 歴史研究者と教育者の有志は二十日、教育基本法「改正」案に対し「歴史の
研究と教育に携わる者として廃案とするよう訴える」とアピールを発表し、都
内で記者会見しました。浜林正夫一橋大学名誉教授をはじめとする二十人が呼
びかけ人となり、七百五十五人が賛同しています。

 アピールの内容について説明した浜林氏は「改正」案の問題を五点あげ
「『改正』の必要性について明確な説明がなく、憲法に次ぐ重要な法律を明確
な理由なく変えることは許されない。声を結集し、運動を広げていきたい」と
訴えました。

 また、「改正」案が「教員は、全体の奉仕者」であると規定した現行法六条
を削除していることについて、教員が政府の命令に従って教育を行わなければ
ならなくなると指摘。「歴史研究や歴史教育をすすめることが難しくなってし
まう。政府が定めた一定の歴史観を強制されざるを得ないことが起こるかもし
れない。それは戦時中の教育を顧みれば非常にはっきりとしている」とのべま
した。

 「教育の目標」としてあげられている「わが国と郷土を愛する」「態度」を
強制することは問題だとして、山田邦明愛知大学教授は「教育勅語の時代も
『愛郷心は愛国心の基盤をなす』という発想に行われたものだ」と批判しまし
た。

 峰岸純夫前中央大学教授、西川正雄東京大学名誉教授、米田佐代子元山梨県
立女子短期大学教授、石山久男歴史教育者協議会委員長も記者会見に出席し、
意見をのべました。