『琉球新報』2006年10月22日付

基本計画の順守訴え 県立美術館の管理方針変更に批判


 「第1回これでいいのか?県立の美術館シンポジウム2006」(同実行委
員会主催)が21日夜、那覇市の教育福祉会館で160人余が参加して開かれ
た。2007年11月開館予定の県立美術館(仮称)について、パネリストら
は「管理運営の方針となる『基本計画』を順守することが大切」と指摘。同計
画の変更につながる指定管理者制度に対して「安易な導入は重大な問題を起こ
す」などと指摘した。

 第1部は実行委員会代表の安座間安司氏(美術批評家)の基調講演に続き、
パネリストの川平恵造(県美術家連盟会長)宮良瑛子(沖縄女流美術家協会会
長)島袋純(琉球大学助教授)小林純子(県立芸術大学助教授)の4氏が、そ
れぞれの立場から問題提起した。

 小林氏は「関係者が1994年にシンポジウムを開催するなど努力し策定さ
れた基本計画は、方針が明確で他県より優れている。県は同計画を無視する形
で、(隣接する)美術館と博物館を統合して館長は一人、美術館と博物館に副
館長を置くとし、指定管理者制度も導入しようとしている」などと指摘した。

 島袋氏は「諮問委員会の答申を基に策定された基本計画を、行政の首長が変
更する場合、その理由を明らかにする必要がある」などと県の説明責任に言及
した。

 川平氏は「県の管理運営方法を聞き、がっかりした。県民みんなが喜べるも
のを造るべきだ」、宮良氏も「豪華な美術館でなくていい。親子、お年寄り、
障害者に開かれた空間をつくってほしい」などと訴えた。

 会場との質疑応答では「博物館と美術館を統合することの何が問題なのか」
と質問が出、パネリストの宮城潤氏(NPO法人前島アートセンター代表理事)
は「博物館と美術館はそれぞれの基本計画で建設が進められてきた。県民に公
にされることなく統合されるのはおかしい」と述べた。