共同通信配信記事 2006年10月19日付

大学病院、また半数割れ 医学生8000人の研修先


 来年4月に医師になる医学生が臨床研修を行う病院を希望に応じて決める
「マッチング」の結果が19日公表され、8094人の研修先が決まった。来
年度の研修先のうち大学病院が占める割合は、本年度より0・5ポイント増の
48・8%で、微増したものの2年連続で半数を割った。地方の大学病院など
で募集定員割れが目立つ。公立や民間などの市中病院は51・2%。

 かつての大学病院偏重が解消される一方、都市部の市中病院に人気が集中、
人手が足りなくなった大学病院が過疎地などに派遣していた医師を引き揚げる
動きも出ており、地方の医師不足の一因になっているとの指摘もある。

 マッチングは、医学生が研修したい病院を、病院は採用したい人材を、それ
ぞれ事前登録し、コンピューターで合致させて決める方式。2004年度から
義務化された新しい臨床研修制度に伴って日本医師会などでつくる協議会が実
施しており、今年が4回目。

 希望病院を登録した医学生は8402人で、このうち96%の研修先が決定。
新制度前は約7割を占めていた大学病院は、マッチング導入後、58・8%、
52・7%、48・3%と3年連続で低下していた。

 病院の募集数は1万1306人。募集定員に対し決まった医学生の割合(充
足率)は市中病院72%、大学病院71%。都道府県別で充足率が最も高かっ
たのは東京の90%で、以下京都、福岡、沖縄、神奈川の順。逆に最も低かっ
たのは新潟の40%で、鳥取、富山、三重、青森と続いた。

 大学病院では東大、京大、慶応大など20病院で充足率が100%となる一
方、旭川医大、弘前大、岩手医大、秋田大、新潟大、三重大など10病院は3
0%以下だった。

 厚労省が今春、臨床研修を終えた医師を対象に実施した調査では、市中病院
は「雰囲気がよい」「症例が十分」などの理由で満足度が高く、大学病院は
「雑用が多い」「待遇が悪い」などと不満の方が多かった。