『毎日新聞』2006年10月18日付

教育改革:「再生会議」が初会合


 政府は18日、安倍政権の最重要課題である教育改革を検討する「教育再生
会議」(座長、野依良治・理化学研究所理事長)の初会合を首相官邸で開いた。
安倍晋三首相は冒頭「すべての子どもに高い学力と規範意識を身につける機会
を保障するために、公教育の再生や家庭・地域の教育力の再生が重要だ」との
方針を示し、教員免許更新制度や学校評価制度の導入の検討を要請した。

 来年1月に中間報告を出し、予算措置が必要なものは来年6月にもまとめる
「骨太の方針」に盛り込む。

 首相と17人の委員、伊吹文明文部科学相らが出席した。首相は具体的な検
討課題として(1)質の高い教育提供による学力向上(2)規範意識や情操を
身につけた美しい人づくり(3)地域ぐるみの教育再生−−の3点を提示。そ
の後の討議では、いじめによる生徒の自殺も取り上げられ、義家弘介・横浜市
教育委員が「脱落した子を受け入れる仕組みがない」と新たな制度づくりの必
要性を強調した。

 今後は月内にも分科会を設置し中間報告の取りまとめ作業に入る。首相の要
請を踏まえ、教員免許更新制度のほか全国的な学力調査、学校評価制度などに
ついて議論を進める。政府は来年の通常国会に、中間報告を反映させた学校教
育法改正案を提出する方針。

 一方、首相が提唱する大学の9月入学制や教育バウチャー(利用券)制度の
導入は与党や教育界に抵抗感が根強く、本格議論は中間報告後に先送りする方
向だ。【平元英治】

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 ■教育改革の予想される日程■
<06年>
10月18日  教育再生会議・初会合
   23日? 衆院教育基本法特別委が審議を再開
   25日  教育再生会議・分科会設置?
12月     07年度予算で関連施策盛り込み
<07年>
 1月   教育再生会議・中間報告
      通常国会に関連法の改正案を提出(学校教育法、教員免許法など)
      文科省が学習指導要領見直し(06年度内)
 4月以降 教員免許更新制、学力テストの実施
12月?  教育再生会議・最終報告