『産経新聞』2006年10月18日付

首相「規範意識」を強調 教育再生会議


 安倍晋三首相が政権の最重要課題に位置付ける「教育再生」の具体策を検討
する教育再生会議の論議がスタートした。事前の報道などでは「バウチャー制
度」や「大学の9月入学」などが審議内容としてクローズアップされていたが、
安倍晋三首相はあいさつで、規範意識や家庭の教育力を強調し、「美しい国」
に向けた具体策づくりを求めた。

 安倍首相は「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家社会をつくる
こと」として、教員免許更新制度や学校評価制度の導入が必要との認識を表明。

 さらに「規範意識や情操を身に付ける方策を議論いただきたい。体験活動や
奉仕活動を行い、人間性や社会性を磨くことが必要。わが国の伝統や文化を学
ぶことも重要だ」「家庭や地域の教育力を高める方策も検討してほしい。大人
の在り方、子育てや働き方、企業の在り方も取り上げてほしい」と語った。

 ただ、審議の行方には不透明な面もある。安倍首相のブレーンは葛西敬之J
R東海会長だけで、元文部科学事務次官の小野元之日本学術振興会理事長が入
るなど、官邸主導の大胆な改革の実現に疑問の声も出ている。

 教育基本法改正や国旗・国歌をめぐって政府を批判してきた義家弘介横浜市
教育委員▽共産党機関紙に頻繁に登場するエッセイストの海老名香葉子さん▽
「ジェンダーフリー」を掲げる池田守男資生堂相談役▽フェミニスト的子育て
観を表明してきた白石真澄東洋大教授−らも委員に就任しており、安倍首相が
思い描く教育の形にすることができるかどうか、今後の審議が注目される。