『毎日新聞』2006年10月17日付

安倍・教育改革:この人に聞く 山谷えり子・教育担当首相補佐官


 ◇官邸主導、スピード重視

 −−安倍晋三首相の私的諮問機関「教育再生会議」の初会合が18日、開か
れます。文部科学省との二重行政が指摘されていますが、狙いは。

 ◆スピードと実効性が狙いだ。「(来年の)2学期からサポート体制を取る」
という感覚で議論したい。「骨太の方針」や新年度予算に必要な施策を盛り込
むには、会議を通じて官邸主導で進めた方が各省庁のコンセンサスを得やすい。

 最初の2〜3回は自由討議を行い、委員の意見を聞く。ただ(来年12月に
予定している最終報告は)「最終結論」ではない。大学や大学院の質の問題、
科学技術のあり方などは更に時間が必要だろう。

 −−来年3月に予定される中間報告では、学校評価制度や全国的な学力調査
実施、教員免許更新について方向性を示すことになりそうですが。

 ◆子どもの実態がよく分からない中で憂慮すべき事件が起きている。学校評
価制度が必要だが、各学校を格付けして発表する考えはない。学力テストによ
り、どの学校のどのクラスで問題があるかを知り、子どもたちを支援したい。
教員免許更新制は既に中教審で議論されている。制度設計への提言を含め、会
議で議論すると思う。

 −−いずれも地方分権の流れに反し、国の関与を強めることになるのではな
いですか。

 ◆自民党で過激な性教育の実情を調べようとした際、できたのは東京都と神
奈川県だけ。都道府県では教育の実態調査さえできない。

 −−大学の9月入学制や教育バウチャー(利用券)導入には異論が強いですね。

 ◆9月入学には大学の受け入れの問題もある。バウチャーは、私個人は予算
配分をいくらか柔軟にしてもいいとは思う。

 −−愛国心教育が子どもたちの規範意識の向上につながるという声が自民党
内であります。

 ◆会議で議論するかどうかは意見を聞くが、(愛国心教育は)どこの国でも
行っている。【聞き手・平元英治】