『毎日新聞』広島版 2006年10月13日付

教育基本法改正:「教育基本法を守ろう」 教育者や弁護士、アピール発表 /広島


 憲法や教育基本法の改定に反対する弁護士や教育者、宗教者計12人が呼び
かけ人になり12日、教育アピール「被爆地・広島からの訴え 教育基本法を
守り、平和とどの子も大切にされる教育を」を発表した。呼びかけ人らは、県
教委への申し入れの他、シンポジウムの開催なども検討している。

 アピール文では、現行の教育基本法について「『学力世界一』とされるフィ
ンランドなどで国際的にも高く評価されている。いじめや不登校など教育を巡
る課題は(同法を)改めても解決するものでなく、県民も戦後一貫して『過ち
を繰り返しませぬ』との誓いを胸に、教育でも平和を希求する取り組むを重ね
てきた」と指摘。同法改定案には「『愛国心』などを列挙し、国家権力が教育
行政に無制限に介入する仕組みだ」と批判している。

 県庁で会見した呼びかけ人の大森正信・広島大名誉教授らは「国は教育内容
に介入すべきでなく、設備などを充実させるのが役割なのに、現行法下でも果
たしていない。また(同法改定で)学校にさらに競争原理が持ち込まれると
『(勉強が)出来ない子』が取り残され、子ども自身も『自分は勉強が出来な
い』と決めてつけてしまうことで教育の荒廃につながる」と述べた。【吉川雄
策】