『東京新聞』2006年10月14日付

『アカハラ』深刻
院生の3割超経験


 大学院生の三割以上が在学中に「アカデミック・ハラスメント(アカハラ)」
などの嫌がらせを受けた経験がある−。一橋大大学院生自治会がまとめた実態
調査で、多くの大学院生が教員らから言葉の暴力などの嫌がらせを受けたと感
じていることが十四日、分かった。

 教育・研究の場での力関係を利用した嫌がらせであるアカハラの実態調査は
珍しく、同自治会は「教員側との認識の差が大きいと思う。調査を機にアカハ
ラに関する認識を共有してもらいたい」としている。

 調査は昨年十月から十一月にかけて実施。調査票を郵送した学生の13・5
%に当たる二百七人が回答した。回答者は二十代から六十代で、約六割が修士
課程だった。

 嫌がらせの経験があるかとの設問に、約35%の七十三人が「ある」と回答。
「周囲にあった」と回答した三十四人を加えると、全回答者のうち、半数以上
が在学中に何らかの問題に接していた。

 最も多かったのが「ひぼう、中傷などの言葉の暴力」(三十二人)、次に
「指導の不十分や指導拒否」(三十一人)で、研究成果を盗用されたと回答し
た学生も六人いた。

 中には、女子学生七人が性的関係を要求されたとするなどのセクハラ被害の
声もあった。

 調査を担当した同大学院の小倉将志郎さん(28)は「大学院は論文指導な
どを通じて教員・先輩との関係が密になるため、アカハラが生じやすい環境に
ある」と指摘。「大学は適切な調査・対策をすべきだ」と話している。

<メモ> アカデミック・ハラスメント(アカハラ) 大学などの教育・研究
の場で権力を利用して行われる嫌がらせ。学生に対する研究テーマの強要や指
導拒否、中傷、学会用務の強要などのほか、教員間での昇進差別や研究妨害な
どがある。