『産経新聞』2006年10月12日付

教育再生 安倍改革】与党が教育再生協議会設置で合意 背景に公明党の狙い


 自民、公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長は11日、都内のホテルで
会談し、政府が教育再生会議を発足させたことに対応して、近く与党の教育再
生協議会を設置することを確認した。政府の教育改革を後押しするのが狙い。
ただ、公明党は政府が主導する教育再生が「国家主義」に傾くのではないか、
などと神経をとがらせており、発言権を確保するために協議機関設置を自民党
にのませた側面が強い。

 自民党幹部は同日、記者団に対し、週内にもメンバーの人選を終え、正式に
協議会を発足させる考えを示した。

 協議会は今月5日に公明党が設置を求め、自民党側が同意した。教育基本法
改正案への「愛国心」の明記をめぐり、両党間の調整が難航した経緯があり、
公明党は保守的なイメージがくすぶる安倍晋三首相主導の教育改革に対して警
戒感を強めている。同党の太田昭宏代表は11日の記者会見で「国家主義的で
ない改革を与党の教育再生協議会で目指していく」と強調した。

 安倍首相が自民党総裁選で公約に掲げた、生徒が学校を選択し自治体配布の
利用券を授業料として納める「教育バウチャー制度」についても、太田代表は
2日のインタビューで「学校に競争を持ち込むと沈む学校も出てくる」と述べ、
導入は時期尚早との見解を示していた。

 公明党は自党が推薦する有識者を教育再生会議に入れるよう政府に求めるな
ど、政府主導の教育改革の流れに関与する道を模索してきたが、同党幹部は
「与党協議会を設置する意味は、与党の同意なしに政府の再生会議で勝手に物
事を進めないということだ」と話している。