『朝日新聞』2006年10月10日付

教育再生会議の委員決まる 教育改革を検討


 政府は10日、安倍首相が国政の最重要課題と位置づける教育改革の具体策
を検討する「教育再生会議」の設置を閣議決定した。座長には、ノーベル化学
賞受賞者の野依良治・理化学研究所理事長を起用。計17人の有識者と安倍首
相、伊吹文部科学相らで構成する。当面は、教員免許の更新制度や学校の外部
評価制度の導入などを議論する。来年3月ごろに中間報告、来年中に最終報告
をまとめる方針。

 再生会議は、中曽根内閣の「臨時教育審議会」(臨教審)、小渕、森両内閣
の「教育改革国民会議」に続き、首相主導で教育改革を目指す組織となる。安
倍首相は10日の閣議で「美しい日本を実現するためには、次代を背負って立
つ子どもや若者の育成が不可欠だ」と強調した。

 有識者のメンバーには、シンクロナイズド・スイミング元五輪代表の小谷実
可子氏ら著名人をそろえた。「幅広い観点」(塩崎官房長官)で人選し、保守
色を薄める一方で、安倍首相に近い葛西敬之・JR東海会長が加わるなど、
「安倍カラー」もにじませた。実務を担う担当室の室長には、「ヤンキー先生」
で知られる義家弘介氏を起用したが、有識者メンバーに元文科事務次官の小野
元之氏、担当室の副室長に前文科省私学部長をあてるなど、文科省にも配慮し
ている。

 再生会議の初会合は来週の見通し。2週間に1回程度のペースで開き、全国
一斉学力テストの完全実施や、教職員給与の見直しなども議論する。

 また、大学の9月入学や入学前の半年間のボランティア義務づけ、教育バウ
チャー(利用券)制度などの導入についても議論する。

●「教育再生会議」有識者メンバー

浅利慶太(劇団四季代表)

池田守男(資生堂相談役)=座長代理

海老名香葉子(エッセイスト)

小野元之(日本学術振興会理事長)

陰山英男(立命館小副校長)

葛西敬之(JR東海会長)

門川大作(京都市教育長)

川勝平太(国際日本文化研究センター教授)

小谷実可子(日本オリンピック委員会理事)

小宮山宏(東大総長)

品川裕香(教育ジャーナリスト)

白石真澄(東洋大教授)

張富士夫(トヨタ自動車会長)

中嶋嶺雄(国際教養大学長)

野依良治(理化学研究所理事長)=座長

義家弘介(横浜市教育委員)

渡辺美樹(ワタミ社長)

(50音順、敬称略)