『日刊工業新聞』2006年10月6日付

文科省、大学の国際産学連携で人材育成−2012年に500人目標


 文部科学省は大学の国際産学連携を担う「国際知財人材」を、2012年度
までに500人育成する。大学の知財本部や産学連携部門に雇用される博士研
究員(ポスドク)などを、英語での契約や技術成果の紹介、共同研究アレンジ
などができる人材に再教育する。 文科省は国際化推進の新事業を07年度にス
タート、大規模校10校程度、中規模校5校程度を選定する計画で、これら選
定校の若手が育成対象の中心になってきそうだ。

 知財の専門人材は現在、企業を含め日本全体で6万人、大学関係で2000
人といわれる。 内閣官房・知的財産戦略本部の知的創造サイクル専門調査会が
1月にまとめた「知的財産人材育成総合戦略」では、10年後に倍増させるた
め、とくに2011年まで集中的な取り組みを図ることを掲げている。

 これを受けて、文科省の産学官連携推進委員会は、大学関係で4000人に
し、この1割の400―500人を国際知財人材として、とくに取り組みの前
半に育成する方針を固めた。 具体的なイメージとして、若手を弁理士試験に合
格させて弁理士事務所に頼らなくてすむ体制にしたり、科学技術と英語に強い
ポスドクを新たにロースクールに通わせ、契約や外国特許出願に強い人材に育
てたりする取り組みを想定している。

 現在、大規模大学の知財本部・産学連携本部などは、内部の専任教員3人程
度、定年退職前後の企業経験者の雇用15人程度、さらに事務職員を含めて3
0人程度で構成される。 開設当初は企業活動に通じた外部人材に頼っていたが、
大学知財本部事業が終了する07年度以降は、本部内で育てた若手を中心にし、
予算も自前でまかなえるようシフトしていくことを文科省は求めている。