FujiSankei Business i 2006年10月6日付

大学の知財年鑑発行 発明協会など 活動把握で変革後押し


 「大学技術移転協議会(UNITT)」(東京都港区)と「発明協会」(同)
は5日、全国の大学における特許取得や企業へのライセンス供与などの知的財
産活動を網羅的にまとめた年鑑「大学技術移転サーベイ」を今年度から共同で
発行することを明らかにした。こうした年鑑の発行は国内で初めてという。

 6月に政府決定した「知的財産推進計画2006」では新産業やサービスを
生み出すイノベーション(変革)において大学が中心的役割を担う必要がある
としている。ただ、日本の大学の知財政策には、文科省が設置を働きかけた
「知財本部」と経済産業省が主導した「技術移転機関(TLO)」の2つがあ
り、調査なども包括的には行われてこなかった。このため、「大学の知財活動
の実態を把握することが困難だった」(発明協会)という。年鑑はこうした問
題点を解消するのが狙い。

 両団体では、文科・経産の両省とも協力し、各大学の知財本部やTLOのほ
とんどが入会するUNITTを通じて継続的に実態調査を行う。こうした継続
的な調査はこれが初めてで、大学、政府、企業の取り組みに生かしてもらい、
イノベーションを知財面から成功に導くのが狙い。

 米国ではAUTM(米国大学技術移転管理者協会)が大学の技術移転実態を
まとめた年鑑「ライセンシング・サーベイ」がある。