『中国新聞』2006年10月7日付

教育会議、首相に近い人選も 現場からは百マス陰山氏


 政府が十日の閣議で設置を決める「教育再生会議」のメンバーに内定した民
間有識者には、財界や教育、スポーツ界など各分野の第一人者、著名人などユ
ニークな顔触れがそろった。「多様なメンバーで国民的議論にしたい」(安倍
晋三首相周辺)との狙いだが、「品格ある国家」に向けた規範重視の教育再生
を掲げる首相と主張が近い人選もみられる。

 有識者メンバーは十五人程度で人選を進めており、七日までに新たにソウル
五輪シンクロナイズドスイミング銅メダリストの小谷実可子さん(40)の起用が
固まった。

 これまでに内定したメンバーのうち、JR東海の葛西敬之会長は首相を囲む
財界人の勉強会「四季の会」に参加する財界ブレーンの一人。今春、愛知県蒲
郡市に英国の名門私立校をモデルに開校した中高一貫制の男子校の副理事長も
務め、「エリート養成」の必要性を実践しながら訴えている。トヨタ自動車の
張富士夫会長も同校設立に参画した。

 居酒屋チェーン店「和民」を経営するワタミ社長の渡辺美樹氏も都内の中高
一貫校の理事長。資生堂相談役の池田守男氏も学校法人理事長を務めるなど、
教育界にかかわる経済人を起用した。

 劇団四季の浅利慶太代表は中曽根康弘元首相と親しく、教育基本法改正論議
の発端となった「教育改革国民会議」の委員だった。白石真澄東洋大教授は学
校選択の「バウチャー制度」に詳しく、導入に意欲を示す首相の援軍となりそ
うだ。

 一方、教育現場から「ヤンキー先生」の義家弘介横浜市教育委員や、「百マ
ス計算」で有名な陰山英男立命館小学校副校長らを起用するのは、現場の生の
声を議論に反映させる狙いがありそうだ。