『日刊県民福井』2006年10月4日付

包括的連携で協定
福井大 原子力機構
原子力や医療、教育も


 福井大学(児嶋眞平学長)と日本原子力研究開発機構(原子力機構、殿塚猷
一理事長)は三日、幅広い分野で共同研究開発などを進める「包括的連携協力
協定」を締結した。原子力機構が大学と全般的な協力協定を締結したのは初め
て。両者は原子力など工学分野以外の医療や教育分野でも、共同研究や人材育
成、関連講座の開設などを進めていく。 (永井寛郎)

 福井市の福井大学文京キャンパスで午後三時から行われた協定書の調印式で
は、児嶋学長と殿塚理事長が協定書を取り交わし、握手して今後の協力を誓い
合った。

 福井大学と原子力機構は今後、それぞれの教員や役員が参画する「連携協議
会」を設け、連携協力を推進していく。協議会の下には分科会を設置し連携の
具体的な取り組みを決める。協定期間は五年間で、期間満了後は一年間単位で
更新する。

 調印式で児嶋学長は、原子力工学に加えてエネルギー教育や放射線医療など
新たな分野での協力の可能性に言及、「連携が楽しみ。全般的な協力ができる
と確信している」と期待感を表明した。一方、殿塚理事長は「期待に十分、応
えることを確信している。より緊密な関係を築きたい」と述べた。

 原子力機構は現在、全国十二の大学・大学院と講座の開設などで連携してい
るが、大学全体との協定締結は例がないという。

 福井大学は工学研究科(原子力・エネルギー安全工学専攻)が二〇〇四年四
月、原子力機構に統合する前の核燃料サイクル開発機構と連携講座の設置協定
を締結。講師派遣や共同研究、学生の受け入れなどの面で協力関係を築いてい
る。