『日刊工業新聞』2006年9月28日付

経産省、イノベーション創出へ産学の多様な連携を促進−来月にも米大と会合

 経済産業省はイノベーション創出の機会を増やすため、産業界と大学のほか
大学同士、産業界同士など、これまであまり交流がなかった専門家や組織の意
見交換の場づくりに乗り出す。テーマごとに異分野の専門家同士や、組織トッ
プ同士などさまざまなレベルでの連携を促す。 既存の産学連携では特定の専門
家に偏りがちで、研究開発の広がりに欠ける面がある。 経産省は多様な関係者
や組織の橋渡し役を務めることで、研究開発を活性化していく方針だ。

 米ニューメキシコ大学の幹部が経産省を訪問した際、二階俊博前経済産業相
が研究開発課長を窓口担当者に指名した。 経産省は同大学と日本の産業界や大
学との間を取り持つ予定で、こうした窓口の設置は異例。 10月または11月
にも同大学へ関係者とともに訪問、互いの関心分野について、研究開発での連
携を模索する。 今後、定期的に会合を開く方針。

 このほか、産業界や大学で、これまで交流があまりなかった有識者同士につ
いても、テーマを設定した会合により結びつけていく。 ニューメキシコ大の幹
部が訪問した際には、国内の国立、私立大学合わせて10大学の学長を経産省
に招いており、こうした学長レベルの交流も進めたい考え。 さまざまなレベル
での会合を年間数回程度開く。

 研究開発の現場では現在、テーマの細分化による「たこつぼ化」が進み、研
究者は自分の専門分野以外は知見がない状況が起きている。 ただ、イノベーショ
ンの創出には、これまで関係ないと思われていた分野の融合が重要。

 経産省はこれまで研究開発プロジェクトなどを通じて産学連携の融合を促し
てきたが、個人のつながりにとどまるケースが多かった。