『読売新聞』2006年9月25日付

大学は、いま 2007年度 全入時代へ
国立大 前期シフト


 国立大では旧帝大など有力大を中心に、一般入試の後期日程での募集を廃止
する学部が増えている。法人化によって各大学の裁量が拡大されたことで入試
での「横並び」意識が薄くなり、より優秀な学生を確保しようという思惑もあ
る。

 国立大の2次試験は「受験機会の複数化」「異なる試験による多様な人材の
選抜」を目的に、各大学が学部や学科の定員を前・後期に振り分ける「分離分
割方式」で行われてきた。

 近年、多くの大学が「後期は前期不合格者の"敗者復活戦"になっている」
「入学後の意欲が低い」などと指摘。国立大学協会は、各大学が推薦やAO入
試で一定の人数を募集すれば、後期をやめて前期に一本化できるようにした。

 昨春も募集人員の少ない学科などを持つ25大学は例外措置で前期だけだっ
たが、国立大学協会の方針を受け、後期日程で一部学部の募集をしない大学は
今春、37に急増した。

 来春はさらに京都大や東北大、名古屋大など11大学が続く。医学部保健学
科を除く全学部で後期を廃止する京大は、後期の定員を推薦入試などに切り替
える他大学と異なり、すべて前期の定員に回す。東京大も08年度入試から後
期の定員を3分の1に減らし、その分、前期を増やす。

 今春、国立大全体の定員配分は前期79%、後期21%。前期で約90%を
確保した東大、京大をはじめ、有力大はもともと「前期重視」が多いが、今後、
一般入試では「一発勝負」の傾向が強まりそうだ。

 一方、地方の医学部医学科の中には来春、後期の募集を拡大するケースも。
岐阜大は前期の定員25人を後期に移し、前期30人、後期35人と定員配分
を逆転させる。入試課は「多くの大学とは反対に後期重視にすることは受験生
へのインパクトがあるはず。優秀な人材を集められるのではないか」と話す。