『読売新聞』2006年9月28日付

宇都宮大とキヤノンが共同で教育研究センター(栃木)


 宇都宮大と精密機器メーカーのキヤノン(本社・東京都大田区)が来年4月、
同大大学院工学研究科内に、光学分野の人材育成を目的とした教育研究センター
(仮称)を共同で設立する。宇大が企業と連携して新組織を立ち上げ、人材育
成に取り組むのは初めてで、キヤノンも、優秀な学生は社員として採用する方
針を打ち出しており、将来の産業界で活躍する技術者の育成機関として期待が
かかる。

 新設する教育研究センターでは、光学に関する基礎的研究から、実用化に直
結した応用技術、最先端の技術開発まで様々な研究を共同で行う。キヤノンは
客員教員を派遣する人的な協力に加え、年間1〜2億円を施設の運営費として
支援する方向だ。

 キヤノンは、カメラレンズや半導体製造装置関連など、光学技術関連の工場
や研究所を宇都宮市内に集約している。だが、現在在籍している約1500人
の技術者のうち、日本の大学で光学を研究した人材は少なく、キヤノンに入社
後、自前で技術者を育成してきた。

 宇大からは2000年以降の6年間で、約30人の卒業生が技術者としてキ
ヤノンに入社した実績もある。キヤノンは、「地元の大学と連携することで、
人材育成に向けた密接な協力関係が築ける。日本の光学分野をリードする教育
拠点を目指す」かんがえだ。宇大も「産学の連携強化を進め、県内の産業振興
にも貢献していきたい」としている。