『毎日新聞』鳥取版 2006年9月28日付

国旗・国歌訴訟:東京地裁・違憲判決 教職員への対応… /鳥取

 ◇県教育長「従来通り処分」/県高教組「押し付けないで」

 東京地裁が違憲・違法判決を出した教職員への国旗・国歌の強制について、
県教委の中永広樹教育長は27日、「国旗・国歌の取り扱いは学習指導要領に
定めてあり、今までの対応を変更する考えはない」と述べ、従わない教職員は
従来通り処分する方針を表明した。これに対し、県高校教職員組合の福田幸夫
委員長は「教職員といえども一市民として思想・信条の自由がある」として、
「職務命令で日の丸・君が代を押し付けることがないように」と要望した。

 同地裁は21日の判決で、卒業式などで教職員が日の丸に向かって起立し、
君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教委の通達を、憲法の定める思想・良
心の自由を侵し教育基本法にも違反すると指摘。教職員に従う義務はないとし
て、通達を理由にした処分禁止や賠償を都と都教委に命じた。

 この日の県議会で、山口享県議が「違憲判決に動揺することなく毅然と臨ん
でほしい」と要望し、中永教育長は従来通りの方針で対応することを明らかに
した。

 都教委と違い、県教委は通達を出していないが、国旗掲揚・国歌斉唱を指導
するよう定めた文科省の学習指導要領などを根拠に、05年3月には国歌斉唱
の際に起立しなかった県立高校教諭を懲戒処分(戒告)にするなど計10人を
処罰している。【松本杏】