『毎日新聞』広島版 2006年9月26日付

国旗・国歌訴訟:東京地裁・違憲判決 市民団体、教職員らの処分撤回申し入れ /広島


 ◇県教委の見解明示求める−−総務課長「回答はしない」

 入学式や卒業式で、「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱するよ
う教職員に義務づけた東京都教委の通達は違憲などと判断した東京地裁判決
(21日)を受け、市民団体は25日、県教委に対し、「君が代」斉唱時に着
席したなどとして処分された教職員らの処分撤回と、今後職務命令をしないこ
となどを求める申し入れをした。

 申し入れは、県教委が東京都教委同様、▽職務命令や処分などをしてきたと
して、同地裁判決についての県教委の見解の明示▽「君が代」斉唱などに伴う
教職員らへの処分の撤回と県民への謝罪▽県教委が毎年通達している「日の丸・
君が代」のマニュアルの廃棄と校長への職務命令を出さない――の3点。

 「教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会」の由木栄司委員長らは「東京
地裁判決を受けて今後、『君が代』斉唱時に着席する教職員などは増えるだろ
うが、今後も処分するのか。県民が回答を求めているのに今まで通り回答しな
いのは不誠実で、『開かれた県教委』とはとても言えない。県教委の東京地裁
判決の見解を県民は待っている」と回答を強く求めた。だが対応した県教委の
岡田圭史総務課長は「申し入れの趣旨は上司に伝えるが、回答はしない」との
従来の答弁を繰り返した。【吉川雄策】