『毎日新聞』東京版 2006年9月26日付

国旗・国歌訴訟:控訴の方針を回答 通達、処分の撤回せず−−都教育庁 /東京


 都教育庁は25日、教職員らへの国旗・国歌の強制を違憲とした21日の東
京地裁判決を不服として控訴する方針を改めて示すとともに、これまでの通達
や懲戒処分を撤回する考えがないことを明らかにした。都庁へ申し入れに訪れ
た原告・弁護団に回答した。

 申し入れでは、22日の臨時校長連絡会で従来通りの指導方針で臨む考えを
示した同庁に、原告・弁護団が「司法の役割を否定するものだ」として抗議文
書を提出した。応対した同庁の黒田則明・教育情報課長は「通達や懲戒処分を
取り消す考えはなく、控訴し、都教育委員会の主張を行う」と述べ、原告・弁
護団が求めていた中村正彦教育長との面会も「係争中」を理由に拒否した。

 申し入れ後、原告団の永井栄俊代表は「明確な違憲判決が出ているのに許せ
ない。都教委は違憲・違法な行為を重ねている」と話した。

 原告・弁護団は22日にも同庁へ申し入れをしており、(1)指導徹底を打
ち出した03年10月23日の通達の取り消し(2)懲戒処分の取り消し(3)
控訴をしない−−の3点を要請していた。【木村健二】