『高知新聞』2006年9月23日付

高知大医学部に県内枠 医師不足解消狙う

 南国市岡豊町の高知大医学部(医学科)に、県内の高校生だけが受験できる
推薦枠が設けられることになった。20年度入試からスタートする。地方の医
師不足が深刻化する中、地元出身者を多く確保することで、県内の医療機関に
残る人材を増やす。

 大学入試センター試験を必要とする「推薦2」で、小論文と面接で選考する。
募集人員は10人以内。既卒者は一浪まで受験資格を認める予定。

 これに伴い、30人を募集していた後期日程は廃止する。20年度入試から
同科の募集は「AO入試30人」「推薦II 10人以内」「前期日程50人」の
計90人となる。

 また、3年次への編入学(募集5人)にも県内枠として「3人以内」を新設
する。県内の高校卒業者か県内の4年制大学卒業者が対象。

 「県内枠」を設ける背景は、地方の医師不足。どの医学部でも卒業生の都市
への流出が顕著で、高知大の場合も県内の医療機関に研修医として採用された
人は17年度で19人(19・2%)。14年度の32人(36%)から大き
く減っている。

 一方で医学部入学生に占める県内出身者の割合は近年15%前後で推移。こ
うした状況を受け、県も同大に入試での地域枠導入を要請していた。

 同大医学部入試委員会委員長の八木文雄教授は「選考方法の変更と併せ、教
育面でも県内医療をやりたい人材を養成したい。卒業後に県内の医療機関に従
事する人材が1人でも増えることを期待する」と話している。