『読売新聞』2006年9月24日付

「基本法」で与野党譲らず、“教育国会”は激戦必至


 「安倍政権」が始動する第165臨時国会が26日に召集される。

 先の通常国会から先送りされた重要法案が山積する中、首相に就任する安倍
晋三・自民党総裁は教育基本法改正案を最優先課題と位置づけている。野党は
強く抵抗する構えで、早くも「教育国会」の様相を呈している。この問題を担
う文部科学相らの人事への関心も高まっている。

 与党側は22日、81日間という長期の会期案を改めて野党側に示した。重
要法案を一本でも多く成立させる狙いだが、民主党は「教育基本法改正案の採
決をしないことを担保しなければ応じられない」との立場を崩さず、対決姿勢
を強めている。

 安倍氏は20日の総裁就任時の記者会見で、教育基本法改正案を臨時国会で
の「最重要法案」と位置づけたうえ、もう一つの優先課題としてテロ対策特別
措置法の延長を挙げた。その他の法案に関しては、「国会日程もあり、新執行
部と相談しながら優先順位を決める」として、最終的に来年の通常国会以降に
先送りする可能性も排除していない。

 教育基本法については、政府提出の改正案と、民主党提出の対案が継続審議
となっている。安倍氏周辺は「安倍氏は総裁選で教育再生・改革を唱え、具体
的な提案も行った。教育基本法を決着させないと、具体策に着手できない」と
して、政府案で押し切る考えをにじませる。

 これに対し、民主党幹部は「政府案の採決は断固拒否する」としたうえ、与
党との修正協議についても、「小沢代表はそうした妥協を好まない」と否定的
だ。このため、与党内では、早くも「野党が応じないなら、与党だけでも政府
案を採決するしかない」との声が出ている。

 こうした情勢を受け、新政権の人事では、文科相と教育担当の首相補佐官に
も注目が集まっている。

 文科相については、自民党内に「文相経験者が適任だ」という主張と、「安
倍氏の教育改革は文科省の考え方と隔たりが大きいので、むしろ文教族以外の
方がいい」との意見がある。

 また、首相官邸主導を目指し、上限いっぱいの5人を置く予定の首相補佐官
については、「文科省を抑え込めるベテランを文科相に置き、安倍氏と考えの
同じ若手を教育担当補佐官とするのが最良だ」(安倍氏周辺)との案が浮上し
ている。