時事通信配信記事 2006年9月19日付

安倍氏の教育改革構想、文科省に戸惑い


 次期自民党総裁が確実視される安倍晋三官房長官から、次々と教育改革に関
する発言が飛び出す。文部科学省にとっては基本的に、「教育改革を重視して
くれるのはありがたい」(官房幹部)のだが、それぞれの発言の具体的内容、
真意については「よく分からない」(高等教育局幹部)というのが本音だ。

  特に、学校への補助から個人への「利用券」配布に変える「バウチャー制度」
の評判は悪く、初等中等教育局幹部は「義務教育への導入であれば、『義務教
育国庫負担金制度を堅持する』という政府方針と矛盾する」と指摘。別の高等
教育局幹部も「バウチャーに教育費をどれだけ上乗せするかで、行ける学校が
決まるようになる」とし、「余計に格差が広がる」と批判した。

 また、大学入学までの期間をボランティア活動などに充てるという「大学9
月入学」に対しても、省内では疑問の声が少なくない。先の同局幹部は「かつ
て9月入学が議論になった時、著名な学者が『伸び盛りの時期に6カ月も勉強
しないなど、とんでもない』と言ってました」と回想している。(了)