『朝日新聞』2006年9月17日付

自民総裁選候補3氏、教育バウチャー制度巡り激論


 自民党総裁選に立候補している安倍官房長官、谷垣財務相、麻生外相は17
日、NHKの番組で、争点のひとつの教育改革に関し、教育バウチャー(利用
券)制度をめぐって激論を交わした。

 この制度では、家庭が自治体などから受け取った利用券を子どもが通いたい
学校に提出。子どもが多く集まった学校ほど資金が集まる。学校同士の競争を
促し、教育の質を高めるのが狙いだ。

 地域のコミュニティーを重視する谷垣氏は、小学校については「競争原理
(を導入すること)で、地域の小学校を『こっちは荒れている』『こっちはい
い学校』としてはいけない。地域間や学校間格差を固定するものではないか」
と反対した。

 これに対し、安倍氏は保護者など外部の評価を導入し、「選ばれない学校が
出てくると、そこはしっかりと乗り込んでいって根本的に問題を是正していく。
その結果、全体としての水準は高まっていく。良い学校のノウハウをみんなで
共有する必要がある」と力説した。

 麻生氏は「今は学校にも塾にも行く。どっちに行ってもよいと選択制にした
ら、教育コストが下がる。導入するならそこまで考えないと」との考えを示し
た。