『毎日新聞』鳥取版 2006年9月7日付

愛国心:学生アンケートから/2 社会が悪くなる4割 /鳥取

 ◇教育基本法に規定すると、社会が悪くなる4割

 ◇感じたことあり「必要」73%/感じたことなし「不要」71%

 「愛国心を感じたことは?」との問いに、「ある」と答えた学生のうち「愛
国心は必要」としたのは73%、「ない」は71%が「必要ない」と回答し、
対照的な判断を示した。しかし、「愛国心を教育基本法に規定した場合、日本
はどんな国・社会になると思うか」でみると、愛国心を感じたかどうかに関係
なく、「悪くなる」「変わらない」がいずれも4割前後で、「良くなる」を圧
倒。同法に規定することの是非についても、感じたことのあるなしにかかわら
ず、「賛成」の割合は低かった。

 そもそも、学生にとって「愛国心」とは何なのだろうか。自由記述方式で尋
ねたところ、有効回答331人のうち76%にあたる251人が答えており、
想像以上にしっかり書き込まれていた。

 キーワード別に分類すると▽国の文化や歴史を誇りに思う心▽国を今より良
くしようと思う気持ち▽帰属意識▽国を守る心▽(戦争や政治で)国に都合が
いいもの▽対立の原因――などに大別できた。

 「〜を誇りに思う」と答えた人の対象は、育った国や地域、または文化や日
本人であること自体だった。「〜を良くしようと思う気持ち」と考える人は、
国の未来を考え、世界が今より発展するよう努力することとした。「帰属意識」
では、愛着程度の人から最優先すべきものとする人までさまざまだった。

 「国を守る心」と考える人は、国のために自分を犠牲にできることなどと説
明。「国に都合がいいもの」とする人は、国民を操る道具との意見や国に不利
な情報を率先して出さないことの理由に使われるとした。「対立の原因」と答
えた人は、自国の利益を一番に考えて戦争が起こる要因になったり、地球を一
つの国と考える社会を作るのに邪魔な概念とみていた。

 「わからない」と答えた人は、自分の身に付いていなかったり、意識するこ
とがなく“ぴんとこない”などと答えた。「その他」としては▽日本語・日本
食を愛する▽身近な人と楽しく過ごす▽せいぜい周りを思う気持ち――から、
▽思想を制限されるもの▽強要されるものでない▽サッカーなどでしか感じら
れないが自分の中に隠れている感情――などと理解していた。