『毎日新聞』鳥取版 2006年9月6日付

愛国心:学生アンケートから/1 必要63% /鳥取

 ◇教育基本法に盛るは反対58%

 愛国心は必要だが、教育基本法に盛り込むのは反対が多数派――。県内の大
学生400人を対象に毎日新聞鳥取支局が実施した「愛国心」に関するアンケー
ト調査で、こんな結果が出た。同法に規定されると「日本が悪くなる」と考え
る学生は41%で、「良くなる」の9%を大幅に上回った。

 調査によると、「愛国心を感じたことがあるか」の問いに、77%が「はい」
と回答。感じた場面を六つの選択肢(最大二つまで)から選んでもらったとこ
ろ、71%が「五輪やサッカーW杯などスポーツイベント」を選択し、「日の
丸を見たり君が代を歌って」は最少の6%だった。

 「愛国心は国民に必要か」は、「ないと団結力がなくなる」「国の発展や固
有文化を守るため」などを理由に63%が「はい」を選んだ。どのように育つ
かは「自然にまかせる」「個人の自由で、押し付けるものでない」という意見
が多かった。

 同法に盛り込むことには「反対」が58%、「賛成」が10%。愛国心を感
じたことがある学生を見ると、同法規定に60%が「反対」と回答し、規定に
より社会が「悪くなる」(41%)が「良くなる」(11%)を引き離した。
悪くなると答えた人は「“お国のため”という戦時中の日本に逆戻りする」
「為政者に悪用され、異質者が排除される」などを理由に挙げた。

 「高校卒業までに愛国心を教わったことは」の問いに、89%が「いいえ」
を選択。その中で愛国心を感じたことがあるのは75%、国民に必要と考える
人は61%だった。

 男女別では、愛国心を感じたり必要と考える割合で女性が上回ったが、同法
に盛り込むことには男性より拒否反応を示した。【松本杏、小島健志】

  ◇  ◇  ◇

 「愛国心」を盛り込む教育基本法の改正案など、政界を中心に「愛国心」が
盛んに論じられるようになった。戦後60年が過ぎ、“明日”の日本を担う若
い世代は「愛国心」をどのようにとらえ、考えているのだろうか。毎日新聞鳥
取支局が、県内の大学生400人に実施した「愛国心」に関するアンケートの
結果を報告する。

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 ◇「愛国心」調査の質問と回答
 ◆愛国心を感じたことがありますか。
          全体  男性  女性
はい        77  71  84
いいえ       22  27  16
 ◇<「はい」と答えた方に>
どんな時に感じましたか(二つまで選択可)。
a)五輪やサッカーW杯などのスポーツイベントを見た時
          71  68  73
b)旅行・留学などで海外滞在した時
          15  14  17
c)歴史認識や領土問題など国際摩擦が起きた時
          22  26  18
d)学術・文化などの分野で日本人が評価、活躍した時
          30  27  33
e)日の丸を見たり君が代を歌った時
           6   7   4
f)その他     11  11  10
 ◆愛国心は国民に必要だと思いますか。
はい        63  59  66
いいえ       33  37  29
 ◆愛国心を教育基本法に規定した場合、日本はどんな国・社会になると思いますか。
良くなる       9  13   5
悪くなる      41  37  45
変わらない     37  35  39
 ◆教育基本法で愛国心を規定することについて、考え方に近いものは。
a)賛成。教育の目的として、国を愛する心を明確に盛り込むことは必要
          10  15   3
b)反対。憲法の思想信条の自由など内心の自由を侵す恐れがある
          58  52  65
c)分からない   30  30  30
 ◆愛国心と愛郷心(郷土を愛する心)に違いがあると思いますか。
はい        60  59  62
いいえ       34  35  31
 ◆高校卒業までに、愛国心を教わったことはありますか。
はい         7   8   6
いいえ       89  89  89
 (注)数字は%、小数点以下は四捨五入。無回答は省略。
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 アンケートは7月、鳥取大と鳥取環境大の学生各200人に行い、18〜2
6歳の331人(男175人、女156人)が回答した。回収率は83%。