『東奥日報』2006年9月12日付

弘大「見返り」否定/贈答品問題


 県内の自治体病院から弘前大学医学部に、贈答品などとして、五カ年で約千
二百三十万円が支出されていた問題で、県内三十二自治体病院のうち金品を贈っ
た二十一病院は、いずれも弘大医学部から医師を派遣されていた。十一日、同
学部の会見で示された。贈答品は、いずれも公金からの拠出で、適切な公費支
出かどうか疑問がある。弘大は約三百九十五万円に上る商品券など金券分につ
いては返却する方針だ。

 国の機関に対する自治体の寄付は、地方財政再建促進特措法で禁止されてい
る。

 二〇〇一年度から〇五年度まで贈答を受けた弘大医学部側の講座は、全七十
五講座のうち、年度最多で二十四講座となったが、医師派遣に関連の深い「臨
床系」が中心。

 金品の内訳は商品券などのほか、リンゴやホタテなどの品物が約六百七十万
円、忘年会の会費など現金約百五十五万円(四捨五入などで総額とは一致しな
い)となっており、「地域医療を支える両者のなれ合いが露呈した」との指摘
もある。

 弘大で開いた記者会見には佐藤敬学部長と石崎孝志事務長が出席。佐藤学部
長は各教授からの聞き取りなども踏まえ「贈答品は大学と病院のお付き合いの
儀礼範囲で、派遣の見返りなどではない」と強調しながらも「長い付き合いの
中で行われてきたと思う」と、長年の慣行だったことを認めた。医学部関係者
の処分はしないという。