『朝日新聞』2006年9月9日付 声欄

教基法改正に反対論も多い

無職 春日 辰夫 (仙台市太白区 70歳)


 国や郷土を愛する心などを盛り込んだ教育基本法改正案が国会で継続審議に
なっている。しかし、元教師の私には、「改正」によって様々な教育の危機を
乗り越えられるとは思えない。予算や人材が減らされている教育現場で、改正
案が通れば、国を愛する心などの教育効果や評価が求められることになると思
うので、私は法改正に反対だ。

 「改正」にやっきになっているのは一部の政治家や評論家といわれる人たち
で、現場教師の声がほとんど聞こえてこないことが大変気になっていた。

 そんな私に、やはりと思わせたのが、3日朝刊の「教育基本法改正案『賛成
しない』66%」(全国小中学校長 東大アンケート)の記事だ。それによる
と政府の法改正について、約60%の校長が実際の教育現場への影響を懸念し
ているとの調査結果を示していた。

 ところが、現場を離れたところで「改正」に向けての作業はどんどん進めら
れているようだ。この66%の校長たちは、「改正に賛成しない」と声を上げ
てほしい。そして、この反対の声をアンケートの主宰者が急いで全国にアピー
ルしてほしい。禍根を将来に残さないために。