『中日新聞』2006年9月7日付

人材確保で女性教員増へ
名大環境学研究科で新「運用ルール」


 名古屋大環境学研究科は6日の教授会で、教員に女性を優先的に採用する
「運用ルール」を決めた。今後2年間で6人を採用する。同科の女性教員は現
在、120人中3人(2・5%)と、名大全学で最低水準。これを3倍に増や
し、女性比率の改善を狙う。

 名大の全学平均は約1割。環境学研究科は発足6年目の若い部署で、もとも
と男性が多い工学、理学両研究科出身の研究者が中心になっていることから、
女性比率は両研究科と並んで低い。国立大協会が2010年に女性教員の比率
を2割にすることを提言していることもあって、比率是正を迫られていた。

 新運用ルールでは、大学の教員採用で一般的である公募制はとらず、研究科
の中にある3つの専攻が、それぞれ狙いをつけた優秀な女性を一本釣りする。
採用した女性教員には、今後5年間に空く予定の教授などのポストも「保証」
する。

 環境学研究科は学生の3割が女性。林良嗣・研究科長は「女性が輝いていな
い組織は衰退する。新しい学問である環境学には女性の発想が欠かせないが、
先輩がいなければ女子学生が研究者の道を選ばない。意識的に優遇することで
トップレベルの優秀な女性の人材を集め、研究科の魅力を高めたい」と話して
いる。