『読売新聞』2006年9月4日付

東大の利益は57億円、国立大法人の決算公表


 文部科学省は4日、国立大学法人の2005年度決算を公表した。

 91法人の経常収益は計2兆4803億円、経常費用は計2兆4118億円
で、積立金の取り崩しなどを加味した総利益は、716億1700万円となっ
た。

 利益が最も多かったのは東京大で、57億2814万円だった。

 国立大学法人化の初年度に当たり、国からの債権引き継ぎなどがあったため、
収益がふくらんだ04年度との比較では、総利益は35・1%減となった。利
益の主な内容は、特許料収入の増加(約118億円)、競争的研究補助金の増
加(約68億円)、人件費の節減(約137億円)などだった。

 91法人のうち、各大学が共同利用できる研究機関「大学共同利用機関法人」
の4法人を除いた87大学では、東京大、大阪大、北海道大など9校が20億
円以上の利益を計上した。

 文科省は「上位はいずれも資産規模や事業規模が大きいうえ、付属病院を持っ
ていることが収入増にプラスに働いたようだ」と見ている。その他の大学でも、
外部資金を積極的に獲得したり、業務の見直しによる経費節減を図ったりした
結果、当初の計画以上の増収につながったケースも多いという。

 一方、3校が「赤字」だったが、同省は「いずれも、実施中の付属病院の整
備事業で損失を出したと見られる」としている。