『読売新聞』2006年9月1日付

来年度の官民競争入札、年金収納や登記など9事業に


 政府の「官民競争入札等監理委員会」(委員長・落合誠一東大大学院教授)
は1日午前、公共サービスを関係省庁などと民間企業の競争入札にかける市場
化テストについて、2007年度から導入する9事業を明記した基本方針を了
承した。

 業務を落札した企業が下請け業者に一括して再委託する「丸投げ」を禁止す
る規定も盛り込んだ。政府は5日に基本方針を閣議決定する。

 9事業は、<1>社会保険庁の国民年金保険料の収納<2>ハローワークの
職業紹介や就職支援<3>総務省の統計調査<4>登記の証明書交付<5>雇
用・能力開発機構の職業訓練――など。

 このうち、40歳以上の管理・技術職に職業を紹介するハローワークの人材
銀行など5事業は、今年末までに入札を行う予定で、省庁側は予算措置が間に
合わないため、入札参加を見送る。

 基本方針は、市場化テストの目標について「透明かつ公正な競争の下で民間
事業者の創意と工夫を適切に反映させる」と定めたうえ、入札対象事業を少な
くとも年1回見直すことを義務づけた。民間企業との契約期間終了後は、サー
ビスの質の向上や経費節減効果などを考慮し、公共サービス自体の廃止や入札
範囲の拡大などを検討する。

 各省庁に対しては、入札実施要項に維持すべきサービスの質を数値目標など
で示すよう求める。

 また、政府は年内にも、9事業以外に、市場化テストを導入する事業を選定
する。国の業務である航空管制や政府広報、地方自治体の業務であるパスポー
ト発給などが検討対象となる。