『読売新聞』2006年9月1日付

研究費不正を防止、大学の管理強化で予算倍増…文科省


 研究費の不正使用を防止するため、文部科学省は大学の管理体制強化にあて
る予算を倍増することを決めた。

 研究者に配分される科学研究費補助金(科研費)の中で、大学側が経理管理
や支援要員の雇用に支出することができる「間接経費」を増やす。今年度予算
の2・1倍にあたる311億円を新年度予算の概算要求に盛り込んだ。

 契機になったのは松本和子・早稲田大学教授の不正受給で、対策強化には現
状の間接経費だけでは不十分と判断した。間接経費の配分対象は現在、年間2
000万円以上の研究費を獲得した研究者のいる大学のみだが、年間500万
円程度の科研費にも対象を拡大。大型の科研費が集中する国立大以外も、十分
な不正対策が取れるようにする。

 同省の試算によると、対象を拡大した場合、間接経費が配分される私立大学
は現在の111校から約4倍に増える。たとえば現在は間接経費1・9億円の
慶応大は4億円に、早稲田大は1・7億円から3・7億円になるという。