『河北新報』2006年9月1日付

日本海病院と市立酒田病院 監査法人も「統合を」 山形


 山形県の委託で県立病院の在り方と経営課題について調査していた新日本監
査法人(東京)は、県立日本海病院と市立酒田病院(いずれも酒田市)の統合
と、県立病院の独立行政法人化などを盛り込んだ報告書をまとめ、31日、県
に提出した。提言を受け、斎藤弘知事は「酒田市など関係者と話し合い、早急
に方向性を判断する」と表明した。

 報告書は日本海、酒田両病院の現状について(1)急性期医療機能は重複す
る部分が多く、県と市による重複した医療投資にあたる(2)いずれも供給源
を山形大医学部に依存し、医師確保で競合している―などの問題点を指摘。ど
ちらか一方の病院に医師配置を集約させれば高い医療機能が確保され、住民は
高度なサービスを享受できる、とした。

 県立5病院の機能と開設主体についても検討。県立日本海病院には、人口3
0万人圏で設置できる「新型救命救急センター」の新設を提言した。県内医療
の中核となる中央病院(山形市)、精神医療を担う鶴岡病院(鶴岡市)、日本
海病院の救急部門以外は、開設主体を市町村との一部事務組合に移行させるこ
とを提案した。

 5病院の運営形態については、現行の地方公営企業法に基づく「全部適用」
は経営効率などの面で有効性に疑問を示し、国立大学法人と同様の「非公務員
型」である一般地方独立行政法人化が望ましいとした。

 県によると、公立病院が一般地方独立行政法人に移行した例はなく、新たな
経営手法を導入できるかどうか、総務省と検討に入る。今回の報告書の内容は
来年度に策定する県医療保健計画に反映させる考え。

 市立酒田病院、県立日本海病院をめぐっては昨年12月、酒田市の外部委員
会が酒田病院の老朽化を理由に病院統合と独立行政法人化を提案している。

 斎藤知事は「独立行政法人化により産学官連携で力を付け、自立的な経営を
している国立大学の事例を見ると、病院事業についても同様のことは期待でき
る」と話した。