『毎日新聞』2006年8月31日付

研究助成金:民間財団65団体が大学の経費徴収で申し入れ


 研究活動を助成する民間財団65団体が「研究者への研究助成金の一部を大
学が事務管理経費として徴収するのは納得できない」として1日、全国87国
立大学の学長らに改善を連名で申し入れる。

 トヨタ財団や高松宮妃癌(がん)研究基金など65団体で、年間90億円を
助成している。申し入れ書では「助成金の使途は通常、研究に必要な費用と限
定している。厳しい選考競争と金額査定を経て決定されており、大学がその一
部の支払いを強く求めるのはいかがなものかと考える」などと問題提起してい
る。

 昨年12月の87国立大へのアンケートでは、民間財団の研究助成金の約半
分で、大学本部が一部を徴収。徴収率は5〜10%が多かった。公的研究資金
は間接経費として大学の管理経費に使うことが可能だが、財団側は「公的研究
資金とルールが違う。財団助成金は大学への支払いを想定しておらず、研究者
の研究資金が減ってしまう」と説明している。【下桐実雅子】