『中日新聞』2006年8月31日付

医学部の定員増容認を正式合意
関係4省 岐阜大、三重大など10県


 地方の医師不足対策を協議していた厚生労働、文部科学、総務、財務の四省
は三十一日、特に不足が深刻な東北、甲信越、中部地方の十県の大学医学部の
入学定員を、各県で最大十人まで、二〇〇八年度から最長十年にわたり増やす
と認めることで正式に合意した。地域医療を担う医師を養成する自治医大(栃
木県下野市)も最大十人まで、同期間認めた。

 国は今回の定員増を暫定的なものと位置付け、各省は一九九七年の閣議決定
で示された医学部定員の削減方針も併せて確認。歯科医師については各大学に
歯学部定員の削減を要請し、歯科医師国家試験の合格基準を引き上げることと
した。

 このほか厚労、文科、総務の三省は産科、小児科の医師確保などを盛り込ん
だ「新医師確保総合対策」もとりまとめた。

 今回、医学部の定員増が認められたのは、〇四年に人口十万人当たりの医師
数が二百人未満で、百平方キロメートル当たりの医師数が六十人未満の青森、
岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の各県。

 定員増は医師の地元定着を図ることが条件で、県に対し(1)県内や医師不
足の他の県で一定期間働くことを条件にした奨学金の設置(2)奨学金を受け
る医師の卒業後の配置計画をつくり、国と協議(3)地域に必要な医師確保策
を盛り込んだ医療計画をつくり国と事前協議−などを求める。

 奨学金は、増員後の入学定員の五割以上が受けられるよう設定、地元以外の
出身者の奨学金貸与は六割以内におさえ、卒業生の多くが地元にとどまるよう
働き掛ける。

 医学部の定員増が認められる大学名は次の通り。

 【国立】弘前大、秋田大、山形大、新潟大、山梨大、信州大、岐阜大、三重大

 【公立】福島県立医大

 【私立】岩手医大、自治医大