『毎日新聞』2006年8月26日付

日本学術会議:不正に対応態勢 大学・機関の1割だけ


 研究者の論文ねつ造や研究費の不正使用に対応する告発窓口など、適切な処
理のための態勢を取っている大学や研究機関は、全体の1割程度にとどまるこ
とが、日本学術会議によるアンケートで25日、分かった。同会議では、遅れ
ている態勢づくりを早急に進めるよう改めて求めていく。

 同会議では今年5月、相次ぐ不正事件の発覚を受け、防止策の実施を大学や
研究機関に要請。これに合わせて、同月から6月末の期間に実態把握のための
アンケートを実施した。

 全国の大学や研究機関の半数にあたる1323機関から回答があった。その
結果、研究不正や研究費不正使用の疑いを告発する窓口や対応手続きを決めて
いるのは167機関(12.6%)。「検討中」も138機関(10.4%)
にとどまった。また、研究者が守るべき倫理綱領を制定しているのも177機
関(13.3%)に過ぎず、「制定予定なし」の回答も548機関(41.4
%)たった。【下桐実雅子】