『埼玉新聞』2006年8月21日付

「教育費高すぎる」
格差の現状を報告・議論
全教集会閉幕


 所沢市で始まった全日本教職員組合(全教)の教育研究全国集会は二十日、
「憲法・教育基本法に根ざし、子どもたちが健やかに成長できる教育をつくり
あげよう」とのアピールを確認し、四日間の日程を終えた。同日はさいたま市
を中心に学力テストや子どもの安全、格差問題など八つのテーマで教育フォー
ラムが開かれた。

 格差問題や教育費の問題について考える教育フォーラムでは、教育費の現状
や就学援助制度の在り方などが議論された。三輪定宣千葉大学名誉教授(教育
行政学)は無償、または低額が多い欧米諸国の大学学費と比べ、日本の学費は
「際立って高い」と報告。三輪教授によると、一九七五年から二〇〇五年度の
三十年間で、家計消費は一・九倍しか伸びていないのに、国立大学費は一四・
八倍、私立大は四・四倍伸びており、教育の機会の所得格差を助長していると
いう。

 県内の県立高校の事務職員は、県立高校授業料減免制度の基準が厳しくなる
ことについて発表。「今まで免除されていた人が大量に外れ、授業料滞納者が
増えるだろう」と指摘した。

 また会場にいる中学校教員や保護者からは「合宿費用が高いので好きな部活
に入れないという現実がある」「子どもが大きくなるにつれて学費の高さに驚
いた」との報告もあり、就学援助制度の充実や部活費の補助など行政への働き
掛けを必要とする意見が多かった。