『日刊工業新聞』2006年8月21日付

文科省、公的研究機関施設・機器の産学共用を支援−07年度予算概算要求


 文部科学省は大学や公的研究機関が持つ先端研究施設・機器を、産業界と共
用するよう後押しする事業を07年度から始める。各機関のスーパーコンピュー
ター(スパコン)や小型放射光施設などは、使用していない時間が長いのに維
持・ランニングのコストがかかり負担が大きい。 文科省は共用分のコストや、
企業ニーズに合わせて利用を支援する人材の費用を助成し、企業への開放を促
す。 企業の研究開発インフラストラクチャーとして役立て、産学官連携による
イノベーション創出を図る。

 07年度予算の概算要求を行う「先端研究施設共用型イノベーション創出プ
ログラム」で活用を想定するのは、理化学研究所がたんぱく研究でそろえた4
0数台の核磁気共鳴(NMR)装置や、文科省関係で全国に約40台あるスパ
コンなど。 各研究機関(他省庁関連も含む)が企業利用を促して共用した場合、
負担の大きい電気・水道代などランニングコストの共用分を助成する。 また、
企業ごとの利用目的に合わせて試料作成や測定法の工夫をする専門人材の人件
費を補助する。

 事業の対象候補としては、東北大学の無冷媒高温超電導マグネット、大阪大
学の高出力レーザー、立命館大学の流動床式小型実験焼却炉、日本大学のニュー
ハイブリッド空力振動実験システムのほか、帯広畜産大学の原虫病研究センター
などが挙がっている。 大型施設の共用は7月施行の「共用法」で、まず兵庫県
の大型放射光設備Spring8と、開発中の次世代大型スパコンで適用が決
まっている。