『日刊工業新聞』2006年8月11日付

産学連携の相手先、東大が人気ナンバーワン―テーマはIT関連


 過去1年間にスタートした産学連携プロジェクトで最も連携相手大学として
挙がったのは東京大学。研究テーマはIT関連が最も多い―。 日刊工業新聞社
が主要企業を対象に実施した「研究開発に関するアンケート」で、こんな実態
が明らかになった。 回答した216社の4分の1に当たる53社が、過去1年
間に新たな産学連携プロジェクトを立ち上げたことが分かった。

 53社の連携相手先では、東大が10社と一番多く、以下、大阪大(5社)、
東京工業大(4社)、横浜国立大(3社)と続く。 この順番は、大学の“産学
連携活性度ランキング”といえそうで、旧帝大をはじめとする大都市圏の国立
大が上位を独占している格好だ。

 ただ、その一方で豊橋技術科学大学(2社)、富山大学(同)といった地方
国立大学でも産学連携の取り組みが進んでいることがうかがえる。 豊橋技科大
は豊橋に工場を持つトピー工業、富山大は富山に本社を構える三協立山アルミ
や不二越といった具合に“地縁”に基づく連携が主流となっている。

 連携の対象プロジェクトを分野別に見ると、IT関連が一番多くて19件。
以下、バイオ・ライフサイエンス(9件)、ナノテク(7件)、新素材・材料
(同)、先端機械加工・自動システム(同)、エネルギー(6社)、環境(5
社)の順番。

 個別テーマとしては、東大とシャープの「フレキシブルエレクトロニクス」、
東大とYKK APの「光触媒」、東工大と日清紡の「ナノファイバー」、東
工大とキヤノンの「イメージング」、京都大とパイオニアの「有機エレクトロ
ニクス」、九州大と松下電工の「仮想現実(バーチャルリアリティー)」、芝
浦工業大と日本ユニシスの「動画像認識」、静岡県立大と日清製粉の「機能性
食品素材」などが目に付く。

 変わり種としては、日本大とJTの「昆虫共生菌ゲノム」、東大と大和ハウ
スの「ジェントロジー(老人学)」などが目立った。

 アンケートは6月に大手企業234社を対象に実施、216社から回答を得
た。