『読売新聞』2006年8月11日付

市大職員採用「待った」…凍結公約の関市長
事前協議なく不快感


 「市政改革マニフェスト」で5年間、職員の新規採用を原則凍結している関
淳一・大阪市長は、事務職員の新規採用の募集を始めた公立大学法人・大阪市
立大(住吉区)に対し、事前に相談がなかったとして募集の見直しを求めるこ
とを決めた。11日午後、金児暁嗣学長に伝える。改革が事実上、骨抜きにな
りかねないとして、トップ自らが「待った」をかけた形だ。

 関市長は昨年11月の出直し市長選で、リストラ策として職員の新規採用の
凍結を公約、今年2月に発表した改革マニフェストにも盛り込んだ。4月に公
立大学法人化した同大学の職員採用については明記していないが、市側は「当
然、凍結の対象」としている。

 これに対し、大学側は「対象外」と判断。法人化に伴って市からの派遣職員
が引き揚げられるため「大学の将来を担う正職員の採用が必要」として、7月
下旬に新規採用を決め、今月4日に公表した。10日から募集の受け付けを開
始。定員は数人で、9月17日に1次試験を予定している。

 一方、市が大学側から募集開始を知らされたのは公表数日前で、関市長は9
日に金児学長に説明を求めた際、「市と(事前に)協議がなかったのはおかし
い」と不快感を示したという。

 同大学総務課は「市への説明が足りなかったかもしれない」と釈明。対応策
を検討する。