『薬事日報』2006年8月7日付

国立大は産学連携に意欲的‐船井総研が「大学ブランド」を調査


 私立大学よりも国立大学の方が、社会貢献や産学連携に対して意欲的である
ことが、船井総合研究所の行った「大学ブランドに関するアンケート」結果で
明らかにされた。また、私立大は国立大に比べて就職率を重視する傾向がある
など、実益に重きを置く傾向がみられた。

 アンケートに回答したのは、4年制大学123校(国立29校、公立13校、私立
81校)、短期大学27校(公立4校、私立23校)の合わせて150校。大学側が
認識する「大学のブランドを構成する要素」について聞いた質問では、国公私
立ともに、[1]卒業生の活躍[2]大学の知名度・認知度[3]大学の歴史・伝統――
の三つが上位を占めた。

 しかし4位以下をみると、国立大は「研究業績」が上位にきているのに対し、
公立・私立大の場合は「就職率」が上位にあり、国立とそれ以外の大学で、意
識している要素に大きな開きが認められた。国公立大学が全般的に「研究業績」
「社会貢献」など、社会還元に関する項目を上位に挙げたのに対し、私立大・
短大は「就職率」「資格取得」など在校生の実益に関する項目が上位にある。

 一方、大学でも「顧客」や「ステークホルダー」という考え方が浸透しつつ
ある。そこで、大学側が認識する「大学にとっての顧客」について、7つの選
択肢を示して回答を求めたところ、国公私立のいずれも、「在校生」と答える
回答が最も多かった。

 選択肢の中で最も大きな差を生じたのが「産業界」で、国立は70%を超える
大学が「企業を顧客」として認識しているのに対し、公立・私立で「産業界」
を顧客と捉える大学は、40%に満たない状況であった。この結果をみる限り、
産学連携に意欲的なのは私立よりもむしろ国立大学で、ここでも国立とそれ以
外の大学で、意識に大きな違いがみられた。