『読売新聞』2006年8月5日付

大学と外国企業、連携強化へ支援…文科省


 国内の大学と外国企業の連携を強化するため、文部科学省は2007年度か
ら支援策を打ち出す。国内の大学が外国企業から受託する研究はごくわずかで、
国内企業が海外の大学に委託する研究が多い"出超"の現状を打破するのが狙い。

 当面、10大学程度を選び、1大学あたり年間数千万円の予算を新たに計上、
外国企業との連携に向けた組織整備や人材配置を行う。

 同省が966大学を対象に、05年度実績を調査したところ、企業の資金を
活用した大学の研究は計1万6936件。うち外国企業からの受託はわずか4
1件で、全体の0・24%しかなかった。一方、日本企業が国内の大学に投じ
た研究費を大幅に上回る資金(03年度分で1985億円)が、日本企業から
海外の大学や研究所に流出しているという。

 同省では、国際展開に向けた大学の姿勢が定まらないことが、こうした現状
につながっていると分析、テコ入れに乗り出す。計画では、産学連携に積極的
な大学の知的財産本部などに、海外企業との交渉実務を担う組織を整備し、国
によって異なる特許制度や研究成果帰属の考え方に精通した専門家などを配置
する。

 この組織を窓口に、海外との交渉実務を代行する経営管理会社などの活用も
進める。人材育成では、欧米の大学の知財部門などに理系の博士号取得者を派
遣することも検討する。