『毎日新聞』2006年7月14日付

都行革実行プログラム:3年間で職員4000人削減 市場化テストも実施 /
東京


 都は13日、08年度までの3年間に取り組む行財政改革の「実行プログラ
ム」を公表した。官民が共同して公共サービスを担う体制を構築し、スリムで
効率的な行政運営を改革の柱に据えた。具体的には、09年度までに職員定数
の4000人削減▽公営企業改革▽監理団体の統廃合――などを掲げている。
石原慎太郎知事は会見で「効率的な都庁を実現し、五輪招致など重要課題に全
力で取り組む」と述べた。【北村和巳】

 ■職員定数の削減

 今年度の都の職員定数は学校や警視庁なども含め16万9299人で、99
年度から約2万人削減した。この間に知事部局は1万6760人減り、現在は
2万7949人。プログラムは、採用数を減らすなどして09年度までに更に
約4000人減らすことを目指す。職員住宅も整理し、入居者は災害対応要員
に位置づけることを検討する。

 ■病院の経営形態

 老人医療センター(板橋区)は高齢者医療の充実に向け、老人総合研究所
(同)と一体化し地方独立行政法人への移行を目指す。都立病院も効率的な事
業運営を進めるため、地方独立行政法人化を視野に新たな経営形態を検討する。

 板橋区への移管を断念した豊島病院は、地方の5拠点病院を経営する都保健
医療公社への移管を視野に入れる。同公社については民営化に備え、一般医療
については自己収支比率100%を目指す。

 ■監理団体の統廃合

 第三セクターなど都が監理する外郭団体(現在41団体)の統廃合を進める。
都地下鉄建設は新交通日暮里・舎人線の建設を最後の事業とし、13年度に廃
止する。都立福祉施設の民間委譲を進め、運営する都社会福祉事業団は廃止を
視野に入れる。都住宅供給公社は自主自立経営を進め、民営化に向け国に法整
備を求めていく。

 各団体で人事給与制度の見直しや外部監査の導入を行い、都の派遣職員を約
770人削減、財政支出も約120億円減らす。

 ■公営企業改革

 効率性と公共性を追求し、第三者の意見も反映した経営計画を新たに策定す
る。水道、下水道については、都の直営部門を経営方針や施設整備計画の策定
など根幹業務に限り、料金徴収や施設の運転管理は監理団体に任せ、その他の
業務は積極的に民間に委託する。

 交通では民間並みの経営を目指し、バス事業の現業系職員の給与(運転手の
平均年収775万円)について、1割引き下げを組合に提案する。

 ■多様な経営手法

 都の技術専門校を対象に、官民競争入札でサービスの質向上とコスト縮減を
目指す都版市場化テストを行う。全14校から対象を選び、今年度中にモデル
事業を実施する。他の対象事業も選び、都独自に本格的な導入を検討していく。

 公的施設の管理に民間も参入できる指定管理者制度は、都直営で管理する都
市公園(日比谷、上野など10公園)にも順次導入。現代美術館など文化施設
でも指定管理者を公募する。