『毎日新聞』2006年7月14日付

研究費不正使用:科学技術振興調整費、文科省が支給開始


 早稲田大理工学部の松本和子教授の不正使用の影響で、予算の執行が延期さ
れていた文部科学省の科学技術振興調整費について同省は14日、同日付で支
給手続きを始めたことを明らかにした。

 延期されていたのは、共同研究も含めて100機関に配分予定だった新規7
9課題の106億円分。研究機関が要求した経費の中身を例年より厳しく精査
することを、財務省が文科省に求めていた。精査のうえ、実際の支給が決まっ
たのは、予算枠106億円のうち92億円。文科省調整企画室は「旅費や備品
など経費の要求をそのまま通すわけではなく、削減額は例年と大きく変わらな
い」と話している。

 また、早稲田大の13億円(昨年度からの継続分も含む)については、早大
から提出された不正防止策を検討したうえ、支給開始日を決めるという。

 今回の措置により、今年度の新規採択分は、例年より2週間遅れの支給開始
となる。この影響で、研究スタッフの雇用契約を保留にしている大学も出てい
た。【下桐実雅子】