共同通信配信記事 2006年7月12日付

14万人が1年以上滞納 育英奨学金返済、05年度末


 日本学生支援機構(旧日本育英会・横浜市)の育英奨学金の返済を一年以上
滞納している人が二〇〇五年度末時点で、十四万二千人と過去最高だったこと
が十二日、同機構の調査で分かった。不良債権として扱われる三カ月以上の滞
納も十八万五千人に上った。

 滞納理由を「無職と失業」と答える人が増加傾向にあり、奨学生の多くが卒
業後も経済的に厳しい状況に置かれている実態が浮き彫りになった。

 支援機構は「卒業後すぐに就職できない人が多いとみられ、奨学金の踏み倒
しが横行しているわけではない。景気の回復に従って今後、改善していくので
はないか」としている。

 支援機構によると、〇五年度末時点で一年以上滞納した人は前年度の十三万
四千人から6%増加し、滞納残高は千二百二十一億円だった。

 滞納理由について、育英会の〇一年度調査(滞納が三年以上四年未満の約三
千三百人が回答)では「無職や失業」と答えた人は7%だったが、支援機構の
〇五年度調査(滞納一〜二年の約千八百人が回答)では20%だった。低所得も
〇一年度の19%から〇五年度の22%に増えた。

 元奨学生からは「給与がもらえず、事実上、無職状態だった」「転職して所
得が減った」という声が上がっており、機構は滞納理由に応じて返済猶予の手
続きなどを進めている。

 〇四年度に返済を猶予した奨学金は六百四十四億円。うち失業や低所得を理
由に猶予が認められたのは五百四十九億円で、二〇〇〇年度の二百五十四億円
から二倍以上に増加。生活保護を理由にした返済猶予も約二・五倍に増えた。

 所管する文部科学省は「滞納は経済的理由が多いため、無理に返済を迫るこ
とはできない。学ぶ機会を保障するため、奨学金は拡充していく必要がある」
としている。